2010年06月01日
第3回 会社のデメリット
【会社と個人事業のメリット・デメリット】
【経歴】
川村啓輔 公認会計士・税理士
1976年東近江市生まれ。2000年に朝日監査法人(現あずさ監査法人)に入社し、上場会社監査、株式公開業務およびM&Aアドバイザリー業務に従事。また、公会計部門では、地方自治体包括外部監査、外郭団体民営化支援業務等、公的部門のアドバイザリー業務に従事。
2008年に独立開業し、税務コンサルティング、株価算定、事業承継・相続案件を手掛け、2009年12月近江総合会計事務所設立。政治資金監査人・公認会計士協会近畿会公会計委員。
第3回 会社のデメリット
皆さん、こんにちは。
大津市の近江総合会計事務所 公認会計士・税理士の川村啓輔です。
前回までは、会社の良いところをメインに書いてきましたが、今回は会社のマイナス面を検討していきます。
①会社にすると維持運営費コストが増える
まず、会社を設立するのに費用がかかります。専門家に頼まないで事業主自身で設立手続きをした場合、設立に係る費用は株式会社で約24万円です。ちなみに当事務所で設立すると、事業主自身で設立する場合より5,000円安く(総額23万5千円)で設立することが出来るのでぜひご活用くださいませ。
また、平成18年の会社法改正で新たに導入された合同会社(日本版LLC)であれば約6万円で設立できます。
次に、代表的なランニングコストは社会保険料です。個人事業の場合、従業員が5人未満であれば社会保険の加入は任意ですが、会社であれば社会保険に加入する義務があります。健康保険と厚生年金保険は会社と従業員で折半負担ですが、労災保険は全額会社負担となります。現実問題として、全ての中小企業が社会保険に入っているわけではありませんが、ルール上は強制加入となっています。社会保険は保険料が高いイメージがあるため、敬遠する方もいらっしゃいますが、掛金は報酬に比例するため、報酬が安ければ掛金も安くなりますし、扶養家族数、税金等を考慮すると国民健康保険や国民年金よりも掛金は安くなるケースもあります。また、各種給付も手厚いので社会保険は前向きに加入を検討しましょう。特に従業員を雇う予定があるなら、従業員のためにも加入すべきです。
②交際費の取扱い
個人事業では、「業務の遂行上必要」であれば、全額必要経費として認められますが、会社だと取扱いが変わってきます。まず、資本金が1億円以上であれば、交際費は全額必要経費になりません。1億円以下であれば、年間の交際費の600万円までの90%が必要経費として認められますが、残りの10%と600万円を超える額は必要経費にできません。ただし、平成18年度から、参加者の氏名等を記載した一定の書類を保存している場合には、一人当たり5,000円以下の飲食費等は課税交際費に該当しなくなっています。
このように、交際費に関しては、個人事業の方が有利と言えます。しかし、個人事業の場合は、事業とプライベートの区別がつきにくいため、あまりに多額の交際費を計上すると、税務調査で否認される可能性があります。
③自由に事業資金を使えない
個人事業であれば、事業で稼いだお金を自分の生活資金にすぐに充てることができます。しかし、会社であれば、個人の財産と明確に分ける必要があるため、会社のお金を経営者が自由に使えなくなります。
例えば、会社と経営者でお金の貸し借りをする場合にも、金銭消費貸借契約を結んでおく必要があります。
④社会保険や税金の手続きが煩雑
法人化により増える手続きとして、社会保険の手続きが煩雑であることが挙げられます。社会保険は加入時だけでなく、毎年1回は保険料算定手続きも必要となるため、事務手続きが増えてしまいます。
また、税金面についても、個人の確定申告よりも税務申告が複雑になるため、税務の専門知識が必要となります。会社であれば、税務メリットの適用もれを防ぐためにも税理士に依頼する方がベターでしょうが、その分コストもかかります。
⑤会社法上の事務手続き
個人事業であれば、経営上の意思決定は事業主の独断で行えますが、会社では重要な意思決定は株主総会や取締役会で決議する必要があります。そのため、株主総会・取締役会の開催や議事録の作成等の事務作業が発生します。なお、取締役・株主も事業主一人のケースでは、当然ながら独断で意思決定できます。
また、会社であれば、年に1回、決算公告をする必要があり、その費用もかかってきます。
ただし、中小企業の実務では、議事録の作成・決算公告等も全て会社が厳密に行っているわけではありません・・。
以上、今回は会社のデメリットについて書きました。
次回は、会社と個人事業の税金を比較していきます。
会社設立、会計・税務顧問、相続のご相談は近江総合会計事務所まで
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川村啓輔 公認会計士・税理士
1976年東近江市生まれ。2000年に朝日監査法人(現あずさ監査法人)に入社し、上場会社監査、株式公開業務およびM&Aアドバイザリー業務に従事。また、公会計部門では、地方自治体包括外部監査、外郭団体民営化支援業務等、公的部門のアドバイザリー業務に従事。
2008年に独立開業し、税務コンサルティング、株価算定、事業承継・相続案件を手掛け、2009年12月近江総合会計事務所設立。政治資金監査人・公認会計士協会近畿会公会計委員。
第3回 会社のデメリット
皆さん、こんにちは。
大津市の近江総合会計事務所 公認会計士・税理士の川村啓輔です。
前回までは、会社の良いところをメインに書いてきましたが、今回は会社のマイナス面を検討していきます。
①会社にすると維持運営費コストが増える
まず、会社を設立するのに費用がかかります。専門家に頼まないで事業主自身で設立手続きをした場合、設立に係る費用は株式会社で約24万円です。ちなみに当事務所で設立すると、事業主自身で設立する場合より5,000円安く(総額23万5千円)で設立することが出来るのでぜひご活用くださいませ。
また、平成18年の会社法改正で新たに導入された合同会社(日本版LLC)であれば約6万円で設立できます。
次に、代表的なランニングコストは社会保険料です。個人事業の場合、従業員が5人未満であれば社会保険の加入は任意ですが、会社であれば社会保険に加入する義務があります。健康保険と厚生年金保険は会社と従業員で折半負担ですが、労災保険は全額会社負担となります。現実問題として、全ての中小企業が社会保険に入っているわけではありませんが、ルール上は強制加入となっています。社会保険は保険料が高いイメージがあるため、敬遠する方もいらっしゃいますが、掛金は報酬に比例するため、報酬が安ければ掛金も安くなりますし、扶養家族数、税金等を考慮すると国民健康保険や国民年金よりも掛金は安くなるケースもあります。また、各種給付も手厚いので社会保険は前向きに加入を検討しましょう。特に従業員を雇う予定があるなら、従業員のためにも加入すべきです。
②交際費の取扱い
個人事業では、「業務の遂行上必要」であれば、全額必要経費として認められますが、会社だと取扱いが変わってきます。まず、資本金が1億円以上であれば、交際費は全額必要経費になりません。1億円以下であれば、年間の交際費の600万円までの90%が必要経費として認められますが、残りの10%と600万円を超える額は必要経費にできません。ただし、平成18年度から、参加者の氏名等を記載した一定の書類を保存している場合には、一人当たり5,000円以下の飲食費等は課税交際費に該当しなくなっています。
このように、交際費に関しては、個人事業の方が有利と言えます。しかし、個人事業の場合は、事業とプライベートの区別がつきにくいため、あまりに多額の交際費を計上すると、税務調査で否認される可能性があります。
③自由に事業資金を使えない
個人事業であれば、事業で稼いだお金を自分の生活資金にすぐに充てることができます。しかし、会社であれば、個人の財産と明確に分ける必要があるため、会社のお金を経営者が自由に使えなくなります。
例えば、会社と経営者でお金の貸し借りをする場合にも、金銭消費貸借契約を結んでおく必要があります。
④社会保険や税金の手続きが煩雑
法人化により増える手続きとして、社会保険の手続きが煩雑であることが挙げられます。社会保険は加入時だけでなく、毎年1回は保険料算定手続きも必要となるため、事務手続きが増えてしまいます。
また、税金面についても、個人の確定申告よりも税務申告が複雑になるため、税務の専門知識が必要となります。会社であれば、税務メリットの適用もれを防ぐためにも税理士に依頼する方がベターでしょうが、その分コストもかかります。
⑤会社法上の事務手続き
個人事業であれば、経営上の意思決定は事業主の独断で行えますが、会社では重要な意思決定は株主総会や取締役会で決議する必要があります。そのため、株主総会・取締役会の開催や議事録の作成等の事務作業が発生します。なお、取締役・株主も事業主一人のケースでは、当然ながら独断で意思決定できます。
また、会社であれば、年に1回、決算公告をする必要があり、その費用もかかってきます。
ただし、中小企業の実務では、議事録の作成・決算公告等も全て会社が厳密に行っているわけではありません・・。
以上、今回は会社のデメリットについて書きました。
次回は、会社と個人事業の税金を比較していきます。
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第10回 会社設立後に必要な手続き
第9回 会社設立時の一般的な留意事項
第8回 会社設立時の税金ポイント
第7回 法人成りするタイミング
第6回 会社と個人事業の税金の比較③
第5回 会社と個人事業の税金の比較②
第9回 会社設立時の一般的な留意事項
第8回 会社設立時の税金ポイント
第7回 法人成りするタイミング
第6回 会社と個人事業の税金の比較③
第5回 会社と個人事業の税金の比較②
Posted by ビジネスカフェあきんどひろば at 13:00│Comments(0)
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