2010年10月28日

『小倉昌男 経営学』~10月28日号

『小倉昌男 経営学』~10月28日号第4回
皆さん、こんにちは。
税理士・行政書士・ラジオコメンテーターの小川宗彦です。
「経営に役立つビジネス書10選」について、私が選び抜いた厳選ビジネス書を全10回シリーズでお届け致します。
順風満帆のときも逆境のときもあなたを勇気づけてくれる「座右の書」が必ずあります。
読み継がれている良書と出会うことで、自ら考え、自ら行動するビジネスパーソンになって頂きたいと思います。
それでは、早速参りましょう!

第4回 「経営に役立つビジネス書10選」
~『小倉昌男 経営学』~10月28日号

『小倉昌男 経営学』
小倉昌男著
1999年刊 日経BP出版センター


今回、ご紹介する「経営に役立つビジネス書」は、行政に立ち向かい、「宅急便」市場を作り上げ、日本の生活環境を変えた男の珠玉の書き下ろしケーススタディー。生涯最初にして最後、一回限りの著作、ヤマト運輸元社長小倉昌男氏の名著『小倉昌男 経営学』です。

これを読まずして、経営は語れない・・・。いや、語ってはいけない。

小倉昌男氏は、「儲からない」といわれた個人宅配の市場を切り開き、宅急便の全国ネットワーク化を実現するために、行政と真正面から戦い、実に5年の歳月をかけて勝利を勝ち取った、「論理的思考」と「高い倫理観」を備えた伝説の名経営者です。

「人々により良いサービスを提供する。」という理念のもと、「できる、できないを考える前に、それをすべきかどうかを考える。」ことを戦略的に取り組まれてきました。

有名な言葉としては、「サービスが先、利益は後」ということを全従業員に強調しています。なぜなら、ひとり一人の人間に「サービスも大事、利益も大事だ。」というようなトレードオフ(二律背反)が生じる目標を与えると、従業員は迷ってしまい、経営は難しくなるからと指摘しています。

つまり、「サービスがよくなれば後から利益がついてくる。」と考えることによって、「収支は議題とはしないで、サービスレベルだけを問題にする。」というように割り切ることで、目標や評価基準は単純になり、風通しも良くなるというのです。

そして、『「車が先、荷物は後」、「安全第一、営業第二」というようにセールスドライバーにとっても分かり易い評価基準を決めることで、何をすることが全体最適化につながるのかということを誰の目にも明らかにすることである。』とも述べています。

*「全体最適化」の意味については第3回で述べていますので、参照して下さい。

さらに、小倉昌男氏は次のように語っています。

『とにかく何でも「第一」の命令が好きな社長は多い。だが「第二」がなく「第一」ばかりあるというのは、本当の第一がない、ということをあらわしていないだろうか。何でも第一の社長は、「戦術レベル」の社長である。何が第一で、何が第二、とはっきり指示できる社長は、「戦略的レベル」の社長である。』

要するに、「何が一番大切なのか。」を見極め、優先順位をつけ、戦略的レベルで物事を考えることができる経営者こそ、求められる真の経営者なのかも知れませんね。

本書で興味深いのは、たとえば、「社員にどうしたらやる気を持たせることができるか。」という点について組織論の観点からも述べられています。

つまり、経営者は経営の目的や目標を明確に示すことが仕事であり、仕事のやり方は社員に任せ、自主的かつ自律的に個々の社員に責任をもって当たらせるという「全員経営」の方針を打ち出しています。

そして、この「全員経営」を遂行するために、年功序列を廃止し、社員のパフォーマンスを重視して能力を評価する方式を採用し、社内のコミュニケーションが中間管理職によって阻害されないように中間管理職階級をフラット化にしたのは、これまでの日本的経営の慣行を打破した画期的なシステムと言えるでしょう。

最後に、本書は、すべての経営のエッセンスが実践を通じて凝縮されています。
第15章では、小倉昌男氏の経営哲学「経営リーダー10の条件」が述べられていますから、心して読んでみて下さいね。

小倉昌男氏の徹底した学びの姿勢と「経営者魂」は我々に勇気と希望を与えてくれます!

迷いが生じた時、進むべき方向へ導いてくれるそんな一冊です。

それでは、また!


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Posted by ビジネスカフェあきんどひろば at 09:00│Comments(0)経営に役立つビジネス書・・
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