2010年06月17日
在庫と資金繰りのあやしい関係
皆さん、こんにちは、FMラジオスイート81.5ニュースコメンテーター・税理士・行政書士の小川宗彦です。
「起業家のための経理の勘どころ」について、全10回シリーズでお届け致します。
経理業務と一口に言ってもその内容は多岐に渡ります。
このコラムでは、それぞれの業務内容と経理処理ついて、ポイントを押さえ、わかりやすくお伝えしていきます。準備はよろしいですか?それでは、早速参りましょう!
第6回 「起業家のための経理の勘どころ」
~在庫と資金繰りのあやしい関係~6月17日号
「アイツら、やっぱり、そうだったのか。」
「うわさには聞いていたけど。」
在庫と資金繰りはデキている・・・。いや、つながっている。
そんな会話がオフィスで交わされているかどうかはさておいて、今日は過剰在庫がキャッシュフロー的に資金繰りを苦しくするだけでなく、会社の赤字体質を加速させるというお話をしますね。
なぜ、在庫が増えるということが資金繰りを悪化させることにつながるのか?
それは、それだけ商品の仕入れがあったということです。つまり、仕入れを行えば、その代金を支払っているので、商品が販売されず代金回収がなされないまま在庫として眠っていれば、当然、資金繰りは悪化します。
そして、単純に過剰在庫は資金繰りを圧迫するだけでなく、以下の点で弊害をもたらします。
◎在庫には金利がかかる。
仕入代金を借入金で調達したケースで、在庫が販売されなければ在庫に金利が発生していることになる。
◎保管コストがかかる。
在庫を保管するためのスペース、人件費、諸経費が発生する。
◎廃棄コストがかかる。
滞留在庫・不良在庫の処分にもコストが発生する。
何はともあれ、在庫をみたら借金だと認識しておくことが肝要です!
それから、在庫という棚卸資産に関しては、税務調査に備えて気を付けておかなければならないポイントがありますので、注意して下さい。
◎棚卸資産の計上漏れはないか。
◎預け在庫・仕入輸送中(未着品)の商品の計上漏れはないか。
◎棚卸しの実施日、原始記録、手続きについて聞き取りがあるので答えられるか。
◎棚卸資産の単価は届けた評価方法によるものか。
◎評価損・廃棄損の評価は適切か。
在庫管理は、会社経営の生命線です。仕入れという費用だけを毎月試算表に計上しているだけでは、正確な利益を把握することできません。できれば毎月、棚卸をして在庫管理をし、期末棚卸高を計上することで正確な利益を把握しましょう。
決算間際になって慌てることがないようにしたいですね!
最後に、在庫管理の手法にABC分析というのがありますが、これによると一般的には、売上の80%は全商品の20%から構成されていると言われています。
在庫は売れ筋商品だけを持ち、保管しておくのは全商品の20%で十分です。
いずれにしても、現場に出向いて、実際に見ないとその悲惨さが分からないのが在庫です。
棚卸資産が「棚卸死産」とならないよう、適正在庫を心掛けましょうね。
それでは、また!
参考文献
『キャッシュレス、伝票レス、社員レス!ココまでできる経理の合理化』
児玉尚彦著、日本能率協会マネジメントセンター、2004年。
『「儲かる経理」に30日で変わる究極の方法』
児玉尚彦著、日本実業出版社、2005年。
『陣川公平・経理マンの勉強法』陣川公平著、日本実業出版社、1979年。
『陣川公平・考える経理』陣川公平著、日本実業出版社、2001年。
『資金繰りをラクにする108のセオリー』高橋敏則著、ダイヤモンド社、2002年。
『社長!儲けたいなら数字はココをみなくっちゃ!』小山昇著、すばる舎、2007年。
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