2010年07月08日

第9回 罪人(つみびと)をつくらない

小川宗彦
第9回
皆さん、こんにちは。FMラジオスイート81.5ニュースコメンテーター・税理士・行政書士の小川宗彦です。
「起業家のための経理の勘どころ」について、全10回シリーズでお届け致します。
経理業務と一口に言ってもその内容は多岐に渡ります。
このコラムでは、それぞれの業務内容と経理処理ついて、ポイントを押さえ、わかりやすくお伝えしていきます。準備はよろしいですか?それでは、早速参りましょう!

第9回 「起業家のための経理の勘どころ」
~罪人(つみびと)をつくらない!~7月8日号

経営者の方が組織をマネージメントしていく上で忘れてはならない大事なことがあります。

いいですか。

それは、だれひとり「罪人(つみびと)をつくらない」ということなのです。

会社経営を行っていく上で、人間の存在というのは計り知れなく、大変大きな力を持っていると同時に、ふとしたはずみで過ちを犯してしまう存在でもあります。

「魔が差す」という言葉もあるように、最初は小さな傷口でもだんだん取り返しがつかなくなり、結果的に大きな罪をつくってしまう・・・。

会社組織が、「人と人との信頼」で成り立っている以上、「人の持つ弱さ」から社員を守っていくシステムがどうしても必要となってくるのです。

何も社員を疑っているわけではなく、社員に対して「愛情深く、間違いを起こさせていけない。」という気持ちを経営者として持たなければならないのです。

逆説的に言えば、「社員の過ち」は社内の管理体制の不備であるということであり、出来心を起こさせないような厳しい仕組みにしてしまうことが、むしろ社員に対して親切なのです。

つまり、経営のトップは、一人の人間を「罪(つみ)」に追い込んではいけないし、つくらせてはいけないのです。

そのためには、誰もが守るべき規則・規程を導入し一貫性を持たせ、社内の柱とすることが重要です。

たとえば、経理において「ダブルチェック」は基本中の基本であり、「ひとりの人間ですべてができるようになっていてはならない。」ということです。

以下にその具体例をみていきましょう!

◎入出金の取り扱い
社長自らが伝票を起こし、自分で入出金を行うようでは厳密な管理はできません。必ず、入出金の管理においては、お金を入出金する人と伝票を起こす人を分けることが原則です。

◎現金の取り扱い
特に現金の取り扱いは要注意です。帳簿の残高と金庫の残高が一致していることは当然ですが、締めの際につじつまを合わせるのではなく、すべての時点で現金の動きと伝票の動きが合致していなければなりません。このチェックは、現金取扱い担当者以外の目で確認することが必要になってきます。

◎会社印鑑の取り扱い
会社印鑑はいわば「社長の分身」です。会社を留守にすることが多い社長にとっては、この会社印鑑の管理は悩みどころですが、これも一人の人間に預けるのではなく、印鑑箱は外箱と内箱を二重にして、それぞれに鍵をかけ外箱と内箱を扱う人間を分ける工夫が重要です。

◎金庫の管理
金庫は業務時間内であっても常に施錠し、開錠する際には立会者を置く必要があります。また、金庫には定められたものしか保管しないようにすべきです。

これまでお話してきた方法は、決してミスや不正の防止のためのテクニックではなく、厳しい管理体制こそ本当の意味での「人を大切にする職場づくり」を実践することにつながるのです。

それには、まず経営者は率先して自らを厳しく律しなければなりません。

来週は、全10回にわたってお届しているコラムの最終回です!

それでは、また!

小川宗彦オフィシャルブログ 
http://www.ogawamunehiko.blogzine.jp/

参考文献
『稲盛和夫の実学―経営と会計』稲盛和夫著、日本経済新聞社、1998年。
キャッシュレス、伝票レス、社員レス!ココまでできる経理の合理化』
児玉尚彦著、日本能率協会マネジメントセンター、2004年。
『「儲かる経理」に30日で変わる究極の方法』
児玉尚彦著、日本実業出版社、2005年。
『陣川公平・経理マンの勉強法』陣川公平著、日本実業出版社、1979年。
『陣川公平・考える経理』陣川公平著、日本実業出版社、2001年。
『資金繰りをラクにする108のセオリー』高橋敏則著、ダイヤモンド社、2002年。
『社長は「会社のお金」をこう残せ!』岩佐孝彦著、日本実業出版社、2007年。
『あなたを変える「稼ぎ力」養成講座』渋井真帆著、ダイヤモンド社、2003年。
『会社にお金が残らない本当の理由』岡本史郎著、フォレスト出版、2003年。
『数字嫌いの社長でもわかる儲けの帳簿』小笠原史郎著、フォレスト出版、2007年。
『社長の疑問に答える会計の本』田村繁和・小長谷敦子著、中経出版、2003年。




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Posted by ビジネスカフェあきんどひろば at 09:00│Comments(0)起業家のための経理の・・
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